序章

目次

1. 免責事項
2. Debianとはなにか
3. 本書について
3.1. 編集指針
3.2. 前提条件
3.3. 文書様式
3.4. Debian BTS
3.5. ポプコン
3.6. パッケージサイズ
3.7. 本書へのバグ報告
4. 新規ユーザーへの引用文

このDebianリファレンス(第2版)(2010-01-18 09:25:10 UTC)はシステムインストール後のユーザー向け案内書としてDebianのシステム管理に関する概論の提供を目指しています。

本書が対象とする読者は、GNU/Linuxシステムがどう機能するかを理解するのに、シェルスクリプトぐらいは学ぶ気はあるが、全てのCのソースまで読む気がない人です。

1. 免責事項

一切保証は致しません。全ての商標はそれぞれの商標の所有者の財産です。

Debianシステム自体は動く標的です。このため最新状況を反映した正確な記述は困難です。現行の不安定版のDebianシステムを用いて本書は記していますが、皆様が読まれる時点ではすでに記載内容が古くなっているでしょう。

本書はあくまで二次的参考文献として扱って下さい。本書は正式の案内書を置き換えません。著者及び本書への貢献者は本書中の誤謬や欠落や曖昧さが引き起こす結果に一切責任を負いません。

2. Debianとはなにか

Debianプロジェクトはフリーなオペレーティングシステムを作ろうという共通目的を持った個人の集団です。そのディストリビューションは次の特徴があります。

  • ソフトウェアの自由へのコミットメント: Debian社会契約とDebianフリーソフトウエアーガイドライン(DFSG)
  • インターネット上の分散型の無償ボランティア活動: http://www.debian.org
  • 多数のプリコンパイルされた高品質のソフトウエアー
  • セキュリティーアップデートへの平易なアクセス提供による、安定性とセキュリティーの重視
  • 不安定版unstableやテスト版testingアーカイブによる、最新のソフトウエアーへの円滑なアップグレードの重視
  • 多数のサポートされたハードウエアーアーキテクチャー

Debianの中のフリーソフトウエアー構成要素は、GNULinuxBSDXISCApacheGhostscriptCommon Unix Printing System SambaGNOMEKDEMozillaOpenOffice.orgVimTeXLaTeXDocBookPerlPythonTclJavaRubyPHPBerkeley DBMySQLPostgreSQLEximPostfixMuttFreeBSDOpenBSDPlan 9やその他の多くの独立のフリーソフトウエアーのプロジェクトに由来します。Debianはこの多種多様なフリーソフトウエアーを1つのシステムにまとめ上げます。

3. 本書について

3.1. 編集指針

本書の作成にあたり次の編集指針を守りました。

  • 概論を提供し枝葉末節は省略します。(全体像)
  • 簡潔を心がけました(KISS)
  • 車輪の再発明をしません。(既存の参考文献へのポインターの利用)
  • 非GUIツールとコンソールを重視します。(シェル例示を使用)
  • 客観的であるようにします。(ポプコン等の利用)
[ティップ] ティップ

私はシステムの階層的側面やシステムの低レベルを明らかにしようとしました。

3.2. 前提条件

[警告] 警告

本文書だけに頼らず自分で答えを見出す努力をしっかりすることを期待します。本文書は効率的なスタートポイントを提供するだけです。

一義的情報源から自分自身で解決策を探し出すべきです。

[注記] 注記

詳細な文書を読むには、"-doc"をサフィクスとする対応する文書パッケージをインストールする必要があるかもしれません。

3.3. 文書様式

bash(1)シェルコマンドの例示をする次のような簡略化した表現スタイルで本書は情報を提供します。

# <rootアカウントからのコマンド>
$ <ユーザーアカウントからのコマンド>

これらのシェルプロンプトは使われるアカウントを区別します。これはちょうど環境変数として: "PS1='\$'"と"PS2=' '"を設定した場合に相当します。これらの環境変数値はあくまで本書の読みやすさのためで、実際のインストール済みシステではほとんど見かけません。

[注記] 注記

"PS1='\$'"と"PS2=' '"という環境変数値の意味はbash(1)を参照下さい。

システム管理者が行うべきアクションは命令文で書かれています: 例えば、「シェルに各コマンド文字列をタイプ後毎にエンターキーをタイプします。」(必ずしも「〜しましょう。」とはせず簡潔に訳しています。)

英語では、テーブル中の説明や類似のコラムには、パッケージ説明の慣習に従い、定冠詞抜も不定冠詞も抜きの名詞句が入ります。これらには、マンページのコマンドの短い説明の慣習に従った頭の"to"抜きの不定詞句が代わりに名詞句として入ることもあります。変だなとお考えの方もあるとは存じますが、これは本文書をできるだけ簡潔にするための著者の恣意的な文体の選択です。(対応部分を文切り型の名詞句的表現に訳しています。)

[注記] 注記

コマンド名を含めて固有名詞はその位置によらず大文字・小文字の区別を保持します。

本文中に引用されるコマンドの断片はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き"aptitude safe-upgrade"のように表現されます。

本文中に設定ファイルから引用された文字データーはダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き"deb-src"のように表現されます。

コマンドはその名前をタイプライターフォントで書き、場合によってはその後ろにマンページのセクション番号を括弧中に入れて書きbash(1)のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ man 1 bash

マンページはその名前をタイプライターフォントで書き、その後ろにマンページのセクション番号を括弧中に入れて書きsources.list(5)のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ man 5 sources.list

infoページはダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントというコマンドの断片形式で書き"info make"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ info make

ファイル名はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き"/etc/passwd"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ sensible-pager "/etc/passwd"

ディレクトリー名はダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き"/etc/init.d/"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ mc "/etc/init.d/"

パッケージ名はその名をタイプライターフォントで書き"vim"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ dpkg -L vim
$ apt-cache show vim
$ aptitude show vim

文書は、その場所のファイル名でダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き"/usr/share/doc/sysv-rc/README.runlevels.gz"や"/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html"のように表現されたり、その場所のURLhttp://www.debian.orgのように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ zcat "/usr/share/doc/sysv-rc/README.runlevels.gz" | sensible-pager
$ sensible-browser "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html"
$ sensible-browse "http://www.debian.org"

環境変数は、頭に"$"がついた名前をダブルクォーテションマーク間にタイプライターフォントで書き、"$TERM"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけて下さい。

$ echo "$TERM"

3.4. Debian BTS

各パッケージの後ろについている"*"は、各パッケージのDebianバグトラッキングシステム(BTS)にリンクされています。

3.5. ポプコン

ポプコンのデーターは各パッケージの客観的人気の指標として提示されいます。それがダウンロードされた日付は2010-01-03 08:47:39 UTCで、 101488を越すバイナリーパッケージ数と19のアーキテクチャーにまたがる87850つの提出レポートからなります。

[注記] 注記

amd64の不安定版unstableアーカイブは現在高々27561つのパッケージしか含みません。ポプコンデーターは多くの旧式設置システムからのレポートを含みます。

"votes"を意味する"V:"が前についたポプコンの数は"100 * (PCで最近実行されたパッケージに関するポプコン提出)/(全ポプコン提出)"として計算される。

"installs"を意味する"I:"が前についたポプコンの数は"100 * (PCにインストールされているパッケージに関するポプコン提出)/(全ポプコン提出)"として計算される。

[注記] 注記

Popconの数字はパッケージの重要性の絶対指標と考えるべきでません。統計を曲げる多くの因子があります。例えば、Popconに参加しているシステムの一部は"/bin"などのディレクトリーをシステム性能向上のために"noatime"オプションでマウントすることで当該システムから"vote"することを実質的に禁止しているかもしれません。

3.6. パッケージサイズ

各パッケージの客観的指標としてパッケージサイズデーターも提供されます。それは"apt-cache show"や"aptitude show"コマンドが(現在のamd64アーキテクチャー上のunstableリリース上で)表示する"Installed-Size:"です。サイズはKiB(Kibibyte = 1024バイト単位)で表示されます。

[注記] 注記

小さなパッケージサイズのパッケージはunstableリリース中の当該パッケージが内容のある他パッケージを依存関係でインストールするためのダミーパッケージだからかもしれません。

[注記] 注記

"(*)"が後ろについたパッケージのサイズは、unstableリリース中にパッケージが無くexperimentalリリース中のパッケージサイズが代用されたことを示します。

3.7. 本書へのバグ報告

何かこの文書に問題を発見した場合には、debian-referenceパッケージに対してreportbug(1)を用いてバグ報告をして下さい。プレーンテキストバージョンかソースに対する"diff -u"による修正提案を含めて下さい。

4. 新規ユーザーへの引用文

新規ユーザーを啓蒙するDebianのメーリングリストで見つけた興味深い引用文を記します。

  • "This is Unix. It gives you enough rope to hang yourself." 「これはUnixです。首を括るのに十分なロープをあてがってくれますよ。」 --- Miquel van Smoorenburg <miquels at cistron.nl>
  • "Unix IS user friendly... It's just selective about who its friends are." 「Unixはユーザーフレンドリー(使う人に優しい)です... 誰にフレンドリー(優しく)にするかの人見知りするだけです。」 --- Tollef Fog Heen <tollef at add.no>