序章

目次

1. 免責事項
2. Debianとはなにか
3. 本書について
3.1. 編集指針
3.2. 前提条件
3.3. 文書様式
3.4. Popcon
3.5. パッケージサイズ
3.6. バグ報告
4. 新規ユーザへの引用文

このDebianリファレンス(第2版)(2009-06-26 15:13:16 UTC)はシステムインストール後のユーザ向け案内書としてDebianのシステム管理に関する概論の提供を目指しています。

本書が対象とする読者は、GNU/Linuxシステムがどう機能するかを理解するのに、シェルスクリプトぐらいは学ぶ気はあるが、全てのCのソースまで読む気がない人です。

1. 免責事項

一切保証は致しません。全ての商標はそれぞれの商標の所有者の財産です。

Debianシステム自体は動く標的です。このため最新状況を反映した正確な記述は困難です。現行の不安定版のDebianシステムを用いて本書は記していますが、皆様が読まれる時点ではすでに記載内容が古くなっているでしょう。

本書はあくまで二次的参考文献として扱ってください。本書は正式の案内書を置き換えません。著者及び本書への貢献者は本書中の誤謬や欠落や曖昧さが引き起こす結果に一切責任を負いません。

2. Debianとはなにか

Debianプロジェクトはフリーなオペレーティングシステムを作ろうという共通目的を持った個人の集団です。そのディストリビューションは次の特徴があります:

  • ソフトウェアの自由へのコミットメント: Debian社会契約とDebianフリーソフトウエアガイドライン(DFSG)
  • インターネット上の分散型の無償ボランティア活動: http://www.debian.org
  • 多数のプリコンパイルされた高品質のソフトウエア。
  • セキュリティアップデートへの平易なアクセス提供による、安定性とセキュリティの重視。
  • 不安定版unstableやテスト版testingアーカイブによる、最新のソフトウエアへの円滑なアップグレードの重視。
  • 多数のサポートされたハードウエアーアーキテクチャー。

Debianの中のフリーソフトウエア構成要素は、GNULinuxBSDXISCApacheGhostscriptCommon Unix Printing System SambaGNOMEKDEMozillaOpenOffice.orgVimTeXLaTeXDocBookPerlPythonTclJavaRubyPHPBerkeley DBMySQLPostgreSQLEximPostfixMuttFreeBSDOpenBSDPlan 9やその他の多くの独立のフリーソフトウエアのプロジェクトに由来します。Debianはこの多種多様なフリーソフトウエアを1つのシステムにまとめ上げます。

3. 本書について

3.1. 編集指針

本書の作成にあたり次の編集指針を守りました:

  • 他に良い文書があれば(著者裁量で)詳述しません
  • 概論を提供し枝葉末節は省略します(全体像)
  • 簡潔を心がけました(KISS)
  • 非GUIツールとコンソールを重視します。(シェル例示を使用)
  • 車輪の再発明をしません。(既存の参考文献へのポインターの利用)
  • 客観的であるようにしまう。(popcon等の利用)

私はシステムの階層的側面やシステムの低レベルを明らかにしようとしました。

3.2. 前提条件

読者はサポート情報を次より自ら取得して下さい(重要性の高いものからの順に列挙):

  • 一般的情報はhttp://www.debian.orgにあるDebianサイト。
  • "/usr/share/doc/<package_name>"ディレクトリ下にある文書。
  • Unixスタイルのmanページ: "dpkg -L <package_name> |grep '/man/man.*/'"。
  • GNUスタイルのinfoページ: "dpkg -L <package_name> |grep '/info/'"。
  • バグレポート: http://bugs.debian.org/<package_name>
  • 変化中の事や特定案件に関しては、http://wiki.debian.org/にあるDebianのWiki。
  • http://tldp.org/ にあるLinux文書プロジェクト(TLDP)のHOWTO文書。
  • http://www.unix.org/にあるOpen GroupのThe UNIX System Home PageにあるSingle UNIX Specification、
  • http://wikipedia.org/にあるWikipediaのフリーの百科事典。
[注意] 注意

詳細な文書を読むには、"-doc"をサフィックスとする対応する文書パッケージをインストールする必要があるかもしれません。

3.3. 文書様式

次のような、bash(1)シェルコマンド例示と点の後ろの箇条書き形式で本書は書かれています。

# <rootアカウントからのコマンド>
$ <ユーザアカウントからのコマンド>
  • <なすべき事の叙述>

これらのシェルプロンプトは使われるアカウントを区別します。これはちょうど環境変数として: "PS1='\$'"と"PS2=' '"を設定した場合に相当します。これらの環境変数値はあくまで本書の読みやすさのためで、実際のインストール済みシステではほとんど見かけません。

[注意] 注意

"PS1='\$'"と"PS2=' '"という環境変数値の意味はbash(1)を参照下さい。

本文中に引用されるコマンドの断片はダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き"aptitude safe-upgrade"のように表現されます。

本文中に設定ファイルから引用された文字データはダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き"deb-src"のように表現されます。

コマンドはその名前をタイプライタフォントで書き、場合によってはその後ろにmanページのセクション番号を括弧中に入れて書きbash(1)のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ man 1 bash

manページはその名前をタイプライタフォントで書き、その後ろにmanページのセクション番号を括弧中に入れて書きsources.list(5)のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ man 5 sources.list

infoページはダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントというコマンドの断片形式で書き"info make"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ info make

ファイル名はダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き"/etc/passwd"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ sensible-pager "/etc/passwd"

ディレクトリ名はダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き"/etc/init.d/"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ mc "/etc/init.d/"

パッケージ名はその名をタイプライタフォントで書き"vim"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ dpkg -L vim
$ apt-cache show vim
$ aptitude show vim

文書は、その場所のファイル名でダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き"/usr/share/doc/sysv-rc/README.runlevels.gz"や"/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html"のように表現されたり、その場所のURLhttp://www.debian.orgのように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ zcat "/usr/share/doc/sysv-rc/README.runlevels.gz" | sensible-pager
$ sensible-browser "/usr/share/doc/base-passwd/users-and-groups.html"
$ sensible-browse "http://www.debian.org"

環境変数は、頭に"$"がついた名前をダブルクォーテションマーク間にタイプライタフォントで書き、"$TERM"のように表現されます。読者は次の様にタイプして情報を得るように心がけてください。

$ echo "$TERM"

3.4. Popcon

Popconのデータは各パッケージの客観的人気の指標として提示されいます。それがダウンロードされた日付は2009-06-21 15:05:53 UTCで、 96434を越すバイナリパッケージ数と19のアーキテクチャーにまたがる84969つの提出レポートからなります。

[注意] 注意

amd64の不安定版unstableアーカイブは現在高々25441つのパッケージしか含みません。Popconデータは多くの古い設置システムからのレポートを含みます。

"votes"を意味する"V:"が前についたPopconの数は"100 * (PCで最近実行されたパッケージに関するpopcon提出)/(全popcon提出)"として計算される。

"installs"を意味する"I:"が前についたPopconの数は"100 * (PCにインストールされているパッケージに関するpopcon提出)/(全popcon提出)"として計算される。

[注意] 注意

Popconの数字はパッケージの重要性の絶対指標と考えるべきでない。統計を曲げる多くの因子があります。例えば、Popconに参加しているシステムの一部は"/bin"などのディレクトリをシステム性能向上のために"noatime"オプションでマウントすることで当該システムから"vote"することを実質的に禁止しているかもしれません。

3.5. パッケージサイズ

各パッケージの客観的指標としてパッケージサイズデータも提供されます。それは"apt-cache show"や"aptitude show"コマンドが(現在のamd64アーキテクチャー上のunstableリリース上で)表示する"Installed-Size:"です。サイズはKiB(Kibibyte = 1024バイト単位)で表示されます。

[注意] 注意

小さなパッケージサイズのパッケージはunstableリリース中の当該パッケージが内容のある他パッケージを依存関係でインストールするためのダミーパッケージだからかもしれません。

3.6. バグ報告

何か問題を発見した場合には、debian-referenceパッケージに対してreportbug(1)を用いてバグ報告をしてください。プレーンテキストバージョンかソースに対する"diff -u"による修正提案を含めてください。

4. 新規ユーザへの引用文

新規ユーザを啓蒙するDebianのメーリングリストで見つけた興味深い引用文を記します:

  • "This is Unix. It gives you enough rope to hang yourself." 「これはUnixです。首を括るのに十分なロープをあてがってくれますよ。」 --- Miquel van Smoorenburg <miquels at cistron.nl>
  • "Unix IS user friendly... It's just selective about who its friends are." 「Unixはユーザフレンドリーです... 誰にフレンドリーにするかに人見知りするだけです。」 --- Tollef Fog Heen <tollef at add.no>