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UNIX ファイルシステム

ファイルマネージャー Thunar は、基本的なファイルシステムの抽象的な些事を何の問題も無くこなしますので、利用者はこれらを気にする必要はありません。とは言いながら、全体像を掴むために基本概念を理解しておくと後々役立つ場合があります。この章では、UNIX ファイルシステムの概念を手短に紹介します。これは、今日における Linux を含むあらゆる UNIX の派生 OS で用いられています。

フォルダとパス

UNIX ファイルシステムでは、全てのファルダは一つの最上位フォルダから下へ向かって枝分かれしながら配置されていきます、逆さになった樹木の構造を想像してみて下さい。この最上位にあるフォルダはルートディレクトリ (ディレクトリという用語はフォルダの代わりによく使われます) と呼ばれ、Thunar ではファイルシステムとして表示されます。つまり、ある地点に到達するまでフォルダからフォルダへとこの木構造を登って行きます、その後に目標とする場所に着くまでサブフォルダを下って行くのです。

この木構造でのファイルやフォルダの位置はそのパスで記すことができます。このパスというのは、目標とするフォルダやファイルにたどり着くために通過していかなければいけないフォルダのリストで、最上部のフォルダから始まります。例えば、/home/luke は最上部フォルダのサブフォルダ home のサブフォルダ luke になります。/home/luke/myfile.txt はそのサブフォルダにある myfile.txt というファイルです。これらのパスの先頭にある / は最上部フォルダを表します。

すべての利用者が個人用のファイルや設定を保管するための個別のフォルダを持ちます。このフォルダはホームディレクトリと呼ばれ、Thunar では利用者のログイン名と共に特別なアイコンで表示されます。Windows で知られるマイファイルと似ています。それぞれの利用者のホームディレクトリは通常 /home の下にあります。例として上げると、ログイン名 luke のホームディレクトリは /home/luke になり、/home/jane はログイン名が jane のホームディレクトリになります。

ファイルの種類

もう御存知かもしれませんが、UNIX ではあらゆるものがファイルとして取り扱われます。UNIX システムを構成するほぼ全ての物体がそういう風に取り扱われると考えて差し支えありません。事実、各種装置や周辺機器も特殊ファイルとして表されます。一見意味の無いように思われるかもしれませんが、これは UNIX やその派生 OS の強味の一つです。UNIX はシンプルなコアを何年にもわたって保守するだけでよいのに対して、他のオペレーティングシステムは新しいテクノロジーが紹介される度に、新しい概念を導入しなければなりませんでした。

UNIX ファイルシステムにおけるファイルの種類には、四つの重要なものがあります。

普通のファイル

普通のファイルは文字データを含んでいたり、プログラムまたは他のデータであったりします。ここには画像ファイル、オーディオファイル、オフィス文書および動画ファイルも入ります。ファイルという用語がこれら普通のファイルを指すのによく使用されます。

フォルダファイル

UNIX ファイルシステムではフォルダもファイルです。正確に言えばフォルダは特殊ファイルになります、このフォルダ内にある全てのファイルを参照するためのファイル名のマップが含まれています。

シンボリックリンク・ファイル

シンボリックリンク (よくリンクと呼ばれます) はファイルシステムで、他のファイルへのパスを含む特殊ファイルです。従ってシンボリックファイル自身は特に意味のある情報を持ちません、単に他のファイルを参照するだけです。

デバイスファイル

始めの方で述べたように (殆んどの) デバイスもファイルシステム経由でアクセスされます。これら特殊デバイスファイルは通常 /dev フォルダにあります。例えば、特殊ファイル /dev/hda は Linux 上での一番目の IDE ディスクを表します。